鼻猫亭

毎日のこととかぼんやり考えたことなど

節分の豆はピーナツでも良いのか

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 節分といえば豆撒きだ。

 

 節分に豆を撒くことで、悪い鬼を追い払い、福を呼び込み、そうすると一年間無病息災で生活できる、と、だいたいこういう段取りになっている。

 

 そして、節分で撒く豆といえば、一般的には煎り大豆だろう。

 節分が近づいてくると、煎り大豆が鬼の面と一緒にスーパーで売られるようになる。撒いて、歳の数だけ食べる。そして、食べ進めるごとに口の中がパサパサになる。

 

 ところが、千葉に来てから、節分でピーナツを撒く一派がいることを知った。殻つきのピーナツを殻ごと撒くのだ。

 

 この点、ピーナツ派の言い分によると、「ピーナツを殻ごと撒くと後で食べやすい」「掃除も楽」なんだそうである。

 確かに、部屋の隅っこに落ちて埃にまみれた豆を食べるのも抵抗があるという人は多いだろう。庭に撒いて泥がついたものなど以ての外だ。その点、殻つきピーナツであれば、殻さえ割れば中身は無事だ。

 また、煎り大豆は小さくてコロコロ転がり、後で掃除するのが大変である。数日経ってから、網戸のサッシの隙間から発見されたりすると大変げんなりする。玄関先に撒かれて、鬼役に踏まれたりなんかすると、細かい破片がそこらじゅうに飛散する羽目になって腹立たしい。

 殻つきピーナツだと、ある程度大きいし、転がらない。発見もしやすいし掃除もしやすい。踏んづけたら粉々になるだろうけど。

 

 そんなわけで、節分豆に殻つきピーナツを用いるのはなかなかのアイデアではあるのだが、ここでひとつ疑問がある。

 

 ピーナツは果たして鬼に効くのだろうか。

 

 仮に、鬼の性質が「煎り大豆は苦手だけど、ピーナツなら平気」というものであれば、ピーナツ撒きはただの徒労である。

 まして鬼が「ピーナツは好物」というのであれば目も当てられない。むしろ寄ってくる。効果のほどが分からなければ、怖くてピーナツなど撒くことはできない。

 

 そもそも、何故、鬼は豆が苦手なのだろうか。

 調べたところ、以下のサイトに理由が紹介されていた。

 

 歳時記の用語「節分の歴史と由来」

 

 豆撒きは中国の習俗が伝わったもの。そして「まめ」は「魔滅」につながり、魔を滅ぼす力があるとされているらしい。

 豆撒きのルーツは中国なのに、日本語のダジャレが通じるのだろうかという疑問が否めないが、そこはそっとしておこう。とにかく、「まめ」であれば良いということのようだ。

 

 ただし、煎った豆でなくてはならないらしい。「生の豆を使うと、拾い忘れた豆から芽が出てしまうと縁起が悪い」かららしい。

 芽が出るのはむしろ縁起がいいんじゃないかって気もするが、まあ、庭から豆がぼうぼうに生えてきても困るので、そういう事にしておこう。

 「煎る」は「射る」に通じて、魔を射るという意味もあるそうだ。また日本語のダジャレである。きっと中国の鬼にも日本語のダジャレが通じるのだろう。中国で遭ったらこっそり「布団がふっとんだ」とか耳打ちすると良いかもしれない。

 さらに、豆に火を通すことには陰陽五行的な意義もあるらしい。そこはもう「ふーん」といっておくことにしよう。

 

 整理すると、鬼に有効な豆は、次の要件の双方を満たすものということになりそうだ。

 (1) 「まめ」と発音されるものであること

 (2) 煎られていること

 二つ目の要件については、「煎られて」いることがダジャレ的な意味で必要だが、火が通されていて、庭から芽が出る心配がなければギリギリOKと解釈しておこう。

 

 さて、殻つきピーナツは、「まめ」であることに間違いはない。一つ目の要件はクリアされた。ちなみに、ダジャレ的な意味では「ピーナツ」と呼ぶより「なんきんまめ」と呼びたい。

 また、スーパーで売られている袋入りの殻つきピーナツは、ほぼ間違いなく煎られているはずだ。二つ目の要件もクリアである。

 

 結論としては、殻つきピーナツは、鬼に有効である。これからは心置きなくピーナツを撒いてよい。よかったよかった。

 

 ところで、ほかの豆はどうなんだろうか。

 

 まず、ミックスナッツなどは、間違いなく「まめ」である。煎られているため、効果は抜群だ。小袋に入ったミックスナッツのお得用パックを買って窓から投げると、掃除も楽で良い。ただし、缶入りナッツを投げてはいけない、怪我人が出る。

 

 枝豆も「まめ」である。しかも大豆だ。普通は煎られていないが、茹でられて火が通されたものは効果があるはずだ。掃除も楽そうだが、殻つきピーナツと違って湿っており、埃がつきやすいので食べるときにちょっと抵抗がある。

 

 納豆はどうだろう。いちおう「まめ」である。煎られていないが、製造の過程で火が通っている。ただし、発酵しているところを陰陽五行的にどう評価するかに疑問が残る。納豆菌には殺菌力があるので案外強いかもしれない。ただし、掃除が大変なので上級者向き。

 

 豆腐や醤油に至っては。もはや原型を留めていないので「まめ」かどうか怪しい。どちらも製造の過程で火が通ってるが、豆腐は物理的な意味で弱そうだ。醤油は霧吹きに入れて、ファブリーズみたいに気になるところにシュッシュすると良い。多分、あとでシミになるけど。

 

 以上のとおりである。総合的に見て、豆撒きには殻つきピーナツか、ミックスナッツをお勧めしたい。