鼻猫亭

毎日のこととかぼんやり考えたことなど

おかあさんといっしょに見る格差社会の現実

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 おかあさんといっしょのぬいぐるみ劇、「ポコポッテイト」は、絶海の孤島「ぽてい島」に住む、「ムテ吉」「ミーニャ」「メーコブ」の仲良し三人組が主人公だ。

 

 元気いっぱいのわんぱく小僧のムテ吉、お洒落でちょっぴりわがままなミーニャ、おっとり気弱なメーコブといったところだ。往年のぬいぐるみ劇、「にこにこぷん」を思い出させる組み合わせである。実際、にこにこぷんの三人組を思い出して貰えれば概ね外れてないと思う。絶海の孤島が舞台だという点も似ている。
 ちなみに、モチーフとしている動物はムテ吉が「ラーテル」、ミーニャが「マンチカンネコ」、メーコブが「ジャコブヒツジ」だ。なぜそんな細か過ぎて伝わらない動物をモチーフにしたのか、という話題は、既にもう何周もしている感があるのでここでは触れない。
 
 この三人、いつもつるんでいるが、種族も違うし、年齢も微妙に離れている。そして、家庭環境はだいぶ違う。
 
 メーコブは名門ジャコブの御曹司で、お金持ちで、お坊ちゃんだ。
 いつも三つ揃えのスーツに蝶ネクタイを合わせ、丈の短い金持ち短パンに、スエードっぽい素材の高そうなシューズを履いている。ちなみにみんなと外で遊ぶ時も三つ揃えだ。きっと泥んこにしても叱られないのだろう。だって金持ちにはそれが普段着だから。
 
 対するムテ吉は、両親が不在がちなので、祖母と一緒に暮らしている。そしていつも祖母の経営する風呂屋を手伝わされてる。
 服装はいつもタンクトップに短パンと、とても質素だ。冬でもタンクトップである。それしか服がないのかもしれない。いちおう、マフラーとニット帽はかぶるみたいだけど。
 
 いつも仲良しなので気にならないけど、特にこの二人の家庭の経済格差は顕著なのだ、ということを先日の放送で痛感することになった。あ、ちなみにミーニャさんは正真正銘の中産階級です。
 
 ある日、いつものように遊んでいると、メーコブが三人でお寿司屋さんごっこをしようといい始めた。
 なんでも、先日、両親と一緒に、執事も連れて、お寿司を食べに行ったらしいのだ。おいおい執事ときたよ。自慢か。
 
 みんなお寿司は大好きなので、「やろう」ということになった。
 ムテ吉も「オラっちもばあちゃんにお寿司を作って貰ったことあるぞ!」と嬉しそう。ムテ吉の「作って貰ったことがある」という寿司経験値に不安を覚える。
 
 寿司屋の板前になりきって張り切るメーコブ。
 そこへミーニャ(中産階級)が、「そうじゃなくて、回ってる寿司が良いニャ!」なんてことを言い出した。ミーニャ(中産階級)にとっては、回っている寿司こそが寿司なのだ。
 
 不承不承応じるメーコブ。
 そして、メーコブは両手に寿司の皿を持ち、お客さん役のミーニャ(中産階級)とムテ吉に、自らくるくる回りながら手渡そうとし始める。
 「目が回る―」とメーコブ。
 「そうじゃないニャ!」つっこむミーニャ(中産階級)。
 全くつっこめないムテ吉。
 
 そうじゃない、ということになって、今度はお皿が置かれたテーブルの周りをぐるぐる回りだすメーコブとムテ吉。
 やっぱり違うとミーニャ(中産階級)。
 よく分からないけど楽しげなムテ吉。
 
  要するに、メーコブもムテ吉も、「寿司が回る」ことを全く理解できていない、つまり、存在自体を知らないのだ。それぞれ全く別の理由から。
 
 整理すると、
 メーコブにとってのお寿司とはカウンターで板前が出すものでしかなく、
 ミーニャにとってのお寿司とは回転寿司を指し、
 ムテ吉にとってのお寿司とは、祖母が作ってくれるものでしかない
 のだ。
 
 これを格差社会と呼ばずしてなんと呼ぶべきか。
 
 まあ、おかあさんといっしょの世界もなんだか世知辛くなったものですね、ということにしておきます。オチは無い。きっとムテ吉のばあちゃんのお寿司は世界一美味しいんだよ。ね。ね。