青葉の森公園で彫刻を眺める
千葉県の千葉市の真ん中あたりに青葉の森公園というやたら広い公園があって、博物館があったり生態園があったり、なかなか気の利いた公園なんだけど、その入口あたりに彫刻の広場と銘打たれた場所がある。名前の通り、開けた場所に、彫刻が20体ばかり置いてある。
何れも現代日本を代表する彫刻家の手による作品らしいのだが、私は彫刻には疎いので残念ながらどれほど有名な作家なのかとんと分からない。分からないが、どれも妙に味わい深いので、割と気に入っている。
しかもお父さんは明らかにお風呂上がりだ。全裸による筋肉の美しさを表現することを敢えて避け、腰にタオルを巻いたのは、お風呂上り感を出したかったからに違いなかろう。空に突き出た左手は、ひょっとすると冷蔵庫の中のフルーツ牛乳を物色してるのかもしれない。
こちらの「絆」もなかなかのものだ。
お母さんらしき人物が、滑り台のようなウェーブがかかったスロープの下で、2人の子供に手を差し伸べてる。お母さんは後ろの方に引っ張られているような体勢だ。
2人の子供のうち女の子の方は、男の子の肩を踏み台にして、空に向かって飛翔せんとばかりに手を広げている。
素晴らしい躍動感だ。母親と子供たちを左右に配置して、それらがまるで逆の方向に向かって強い力で引っ張られ、離されていくように感じる。まさに「絆」だ。
ただし、シチュエーションが全く分からない。あと、踏み台にされてる男の子はもうちょっと文句言っていい。
「眩驚ーIII」これは文句なしに素晴らしい。せっかくなので、迫りくる感じでお届けしたい。
どん
以前はもっと金ピカだったのだけど、最近になって像の表面がところどころダメージを受け始めてるのが残念だ。千葉県は早く修復してあげてください。お願いします。
最後に、「家族の肖像-I」を紹介したい。
おじいさんを筆頭に、おばあさん、お母さん、男の子、女の子が同じ方向を向いて立っている。
おじいさんは水戸黄門のような髭をはやし、作務衣を着てなにやら長い棒を持っている。きっと頑固爺さんだ。たぶん怒ったらこの棒でぶってくる。
おばあさんもお母さんも、なんとなく似た風貌の和服の女性で、どちらもどこかにいそうな容姿をしている。
特筆すべきはおねえさんだ。
圧倒的なリアリティで造形された、普通のおねえさんだ。お母さん似のもっさりとした顔立ち。もっさりとしたセーラー服。そして、もっさりとした髪型。どこをどうとってももっさりとしている。
何だかもう、このリアリズムは残酷ですらある。歳頃の娘さんなんだから、公園に飾られるのだから、もう少し華やかに造っても良かったのではないかと思う。でも作者のリアリズムはそれを許さなかったのだ。
そして、その結果として、リアリティに溢れたもっさり一家は、みんな同じ方向を向いたまま、いつまでもいつまでも、皆でぼやーんと立っているのだ。