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鼻猫亭

毎日のこととかぼんやり考えたことなど

シャチを見にゆく

毎日のこと
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 南房総といえば、マザー牧場鴨川シーワールドと相場が決まってる。逆にいえば、ほぼ、その二つしかない。あとあるものといえば海と島と灯台と花畑と美味しい魚くらいだ(なんだ結構あるじゃないか)。
 
 このあたり、マザー牧場もシーワールドも心得たもので、両方のチケットが一緒になって、ちょっぴりお得な「シープ&オルカチケット」なんてものが売ってたりする。
 ちなみにオルカっていうのは、シャチのことね。何となく、「食物連鎖」とか、「弱肉強食」といった言葉が頭に浮かぶけど、気にしてはいけない。
 

 南房総に遊びに行った折、御多分に洩れず、シーワールドにも足を伸ばしたんだけど、この水族館は何と言っても、海獣とそのショーが充実してる。

 残念ながら魚類部門はやや物足りないんだけど、シャチやベルーガを飼育してる水族館はそう多くないと思うので、その二つを見るだけでも行く価値はあるんじゃないかと思うのだ。

 
 とりわけ、シャチである。
 
 何と言ってもシャチは巨大だ。巨大な生物はそれだけで見ていて気分が良い。
 イルカなんかと比べると、巨大さが際立っている。流線形の美しいフォルムながら、体つきは筋肉でみっしりとしていて、何やら質量を感じさせる。
 そして、巨体と対照的なのが黒と白を基調とした、パンダを思わせるカラーリング。獰猛な海の生き物とは思えない愛らしさを感じる。
 
 そのシャチがショーをする。
 トレーナーを乗せて悠々と泳いだり、その巨躯を空に投げ出し、ジャンプしたりする。来たからには見ないわけにはいくまい。
 
 シャチのショーは、僕らが行った時にはあらかた席が埋まっていて、前から一、二列にぽつぽつ空きがある状態だった。
 
 最前列付近が空いている、というのはおそらく理由があって、一つは、すり鉢状に傾斜してる観覧席の構造上、最前列だと、目線が水槽の高さより低くなるということ。そして二つ目は、席に「この付近は水に濡れるのでご注意下さい」と注意書きされていることだ。
 
 二つ目は、あの巨体から濡れるだろうことは想像がつく。ご丁寧に使い捨てポンチョまで売ってる有様である。軟弱者の我が子らは「濡れるの嫌だ」などと抜かしおるので、二枚買ってやり、最前列から二番目に陣取った。
 
 ショーは流石に圧巻であった。
 
 シャチがトレーナーを背中に乗せて泳ぐ。
  思い切り水に潜ってから豪快にジャンプする。
  豪快に水を飛ばしてくる。
 
 今度はトレーナーがシャチに立ち乗りする。
  水に潜って豪快にジャンプする。
  豪快に水を飛ばしてくる。
 
 ふと、「わざとやってないか」といった考えが頭を過る。
 
 だいいち、巨体を水に打ち付けて跳ね飛ばす水は、「水しぶき」なんてものではない。水の塊といった重量がある。重い。そして痛い。
 
 不信感が次第に確信に変わる。
 
 シャチが水槽のへりに身体を擦り付けるように見せつけるように泳いできたとき、確かに奴らは、水面に出た胸ビレを巧みに使い、わざと水を跳ね飛ばしてきたように見えた。
 
 こいつら…やる気だ。そう確信した次の瞬間。
 
 シャチは頭を水槽の底の方に沈め、倒立の姿勢を取り、尾びれを水面に突き出し、その尾びれで思い切り水を
 

 ズバーン!ズバーン!ズバーン!

 
かけてきやがった。
 
 それは一抹の躊躇いもなく、容赦もなく、悪意をもって行われた。
 
 軽く風呂一杯分くらいはかぶったと思う。海水を。ずぶ濡れ。しょっぱい。べたべたする。ポンチョ代300円をケチってる場合じゃなかったね。
 
 結局、フラフラの体でシャチの水槽を後にして、トイレでシャツを雑巾絞りすることになりました。
 今後行く人には、滅多に出来ない体験なので、是非、最前列に陣取ることをオススメします。あと、ポンチョ代をケチると、確実にご家族や友人の笑いが取れるので、これもオススメです。