スキマ野菜で栄養バランスを取る
外食をすると野菜不足になって栄養バランスが偏る、というのはよく言われてることで、経験則からいうと、まあだいたいそうなんだろうな、と思う。
確かに外食で積極的に野菜を取るのはけっこう難しい。特にファストフードなどは、最初から栄養バランスなどというものを考慮するのを放棄してかかる必要がありそうだ。
しかし、少し待ってほしい。ファストフードで野菜を取るのは本当に不可能なのだろうか。
ここで、注意深く観察すると、意外なところに野菜が隠れていることに気付くだろう。「スキマ野菜」とでも名付けるべきそれは、カウンターやテーブルの上にさりげなく置かれているのだ。
今回は、そういったスキマ野菜の活用を考えてみたい。
1 牛丼屋における紅ショウガ
牛丼屋のカウンターにはだいたい紅ショウガのボトルが置かれていて、自由に取って良いことになっている。これを活用しない手はない。
中には「紅ショウガなんて野菜とは呼べない。」と仰る向きもいるかもしれない。
しかし、考えて欲しい。紅ショウガと言えどショウガである(たぶん)。
何やら紅い色をしてるけど、間違いなく古くから医薬品として活用されてきたあのショウガである(たぶん)。
今でも風邪をひいたときにショウガ湯を飲む人も多いだろう、紅ショウガだって健康に良くないわけがない(たぶん)。
たぶん。
2 とんこつラーメン屋における高菜
スキマ野菜の活用を考えた場合、とんこつラーメン屋に入ってまずなすべきことは、カウンターの上に高菜漬があるかどうかを確認することだろう。
何しろ高菜である。紅ショウガなどと違って間違いなく野菜である。しかも緑黄色野菜だ。野菜の中でも何となく格上っぽいではないか。積極的に投入してゆきたい。
とんこつラーメンの通人に言わせると、高菜は明らかにスープの味を変えるので、替え玉までは入れてはいけないらしいし、中には最初に高菜を入れると怒りだす妙な店もあると聞くが、臆することはない。
万が一、お店の人や常連客に嫌な顔をされたら
「自分が注文したのはあくまでラーメンが添えられた高菜である。何なればその腐れラーメンなど食べなくともよい。」
と、言い放ってやればよい。きっと叩き出されます。だいいち失礼なのでやめましょう。
3 立ち食い蕎麦屋におけるネギ
立ち食い蕎麦屋には2種類ある。ネギ取り放題の店とそうでない店だ。スキマ野菜の活用を考えると、積極的にネギ取り放題の店をチョイスしてゆきたい。
ネギもショウガと同じように風邪に効く系の野菜だし、熱が出たら首に巻きたがる人もいるようだ。しかしこれ、いつも思うけど本当に効くのかな?スカーフじゃないんだし。
ともかく、立ち食い蕎麦屋でネギを見かけたら、積極的に投入してゆきたい。
蕎麦が妙にシャキシャキするようになって味が変わるどころじゃないし、ネギの揮発成分が鼻とか目とかにツンと来ることうけあいです。こないだ外国からきたらしき人が、カウンターに置かれた刻みネギを容器の半分くらいどっさり入れててアホかと思った。あと、その店いつの間にかネギ取り放題じゃなくなってた。
4 カレー屋における福神漬
以上、様々なスキマ野菜を見てきたが、真打ちはやはりカレー屋の福神漬だろう。
福神漬がなぜ真打ちたりえるのかというと、何せ、福神漬単品で複数の野菜が取れるのだ。
こないだ、某カレー屋で、ライスの上に乗せた福神漬をスプーンの先を駆使して検分したところ、大根、蓮根、茄子、胡瓜、針ショウガっぽいの、薄べったい不定形のよく分からんやつ、が確認できた。目視だけでも堂々の6品目だ。栄養バランスのとれた食事の目安として「1日30品目」というのはよく聞くが、福神漬一つで1日の必要品目の5分の1を確保できるのだ。これに、「ごはん」と「カレー汁」と「たまに浮いてる肉片」を併せると9品目になり、1食分のノルマである10品目にあと1品目まで迫ることができる。活用しない手はない。
福神漬をカレーに乗せるときは、ちゃんと全ての野菜がまんべんなく入ってるかを確認したい。あとから「あ、『薄べったい不定形のよく分からんやつ』が入ってなかった。」なんてことになれば、みすみす1品目を無駄にすることになる。
以上、ファストフード店で食事をするときには、どこかにスキマ野菜が隠されていないか、注意深く観察するよう心掛けたい。
率直に言って、紅ショウガの紅い色はどうにも身体に悪そうだし、高菜も福神漬もやたら塩分が入って健康に悪そうだけど、スキマ野菜の活用に際してそんなことは考えてはいけない。だって所詮、ただの気休めなんだもの。
あと、お店の迷惑は考えましょう。ほんと。