ネクタイの存在意義について
ネクタイってのは、いったい何のためにあるのか。というのは、きっと、スーツを着たことがある人なら一度は考えたことがあるんじゃないかと思います。
何だかよく分からないけど、スーツ姿のビジネスマンの首からぶら下がってるネクタイ。何だかよく分からないんだけど、つけてないとどうやら無作法っぽいネクタイ。でも、何のためにネクタイを締めてるのかいまいちよく分からないネクタイ。
私が、社会人一年生のころ、「創造性研修」という新人研修がありまして、要するに「仕事をするうえでクリエイティブな思考を持つことの大切さを学ぶ。」というものだったんですが、講師が「一見、不合理の塊に見えるネクタイにも、積極的に存在意義を見出して行こう。」という話で一席ぶったのを覚えています。
そうそう、
「ネクタイひとつにしても、積極的に存在意義を考えだすのが創造性ってものです。ほら、ネクタイの裏にハンカチを取り付けると・・・(ネクタイの剣先を顔の上に持ってくる)・・・、眼鏡拭きになる!」
なんて言ってましたっけ。
・・・一休さんの頓知かよ。
私が思うに、ネクタイにはハッキリとした存在意義があります。ネクタイはきっと防寒具なんだと思うのです。
冬の木枯らしの日、襟繰りから風がぴゅーぴゅー吹きこんでくるのはとても寒い。そんなとき、ネクタイで襟周りをキュッと締めると、これがとても暖かい。
襟をボタンで止めるだけだと、どうしても隙間ができてしまう。そんなとき、ネクタイは襟周りから冷たい風が身体の中に吹き込んでくるのをしっかり防いでくれます。それが証拠に、寒い日にうっかりネクタイを外すと、首筋がゾクゾクする。ネクタイのあるのとないのとでは、きっと体感温度が1〜2度は違う。
たいていののネクタイは、幅広で厚手のクッション性のある生地で出来ていますが、それもきっと意味がある。幅広で厚手でな生地はとても温かいし、第一、細い紐で首をキュッと絞めたりなんかしたら、きっと死にます。
デリケートな首回りをふんわりした生地で優しく、でもしっかりと締めてくれるネクタイ。なんて完成度の高いオシャレ防寒具!
そうすると、ネクタイが防寒具である以上、夏場にネクタイを締めるってのはそれこそ不合理極まりないですね。
「ノーネクタイで失礼します。わが社もクールビズでして、ほら、世の中的にもねえ、節電ですから。」・・・なんてよう分からんこと言っとらんでさっさと外せばええねん。
あと、防寒具であるネクタイをお客様の前で着けるなんて、失礼極まりないです。だって、コートやマフラーを着用して来客対応するなんてこと、考えられないでしょう?
来客中はネクタイを外すこと。今後はこれをデキる男のビジネスマナーとして提唱したいのですが、どうだろう。