夏休みの自由研究について
夏休みの宿題と言えば計算ドリルと漢字ドリルと、そして自由研究です。
夏休みの宿題のなかで自由研究は、ひときわ異彩を放ってます。
なんせ何をしても自由です。セミの観察をしてもよし、図書館で町の歴史を調べてもよし、あるいは、工作をしたって構わない。たぶん、「おいしいカレーの作り方」をレポートしてもOK。
うちのこどもも、夏休みの宿題に自由研究を貰ってきました。
といっても、いまや自由研究界隈はさらに自由化が進んでいて、「やるかやらないかも自由」ということになっているようです。・・・いや、それは宿題なのか。
とはいえ、自由研究に対して「発表と評価の機会が与えられている。」というのは素晴らしいことです。夏休みでもない場面でレポートを作って先生に提出しても、ちゃんと見てくれるかどうか分かりません。「ちゃんと見てくれる。」ことが約束されている場面というのは、実はそうそうはないと思う。
そんなわけで、うちでは、こどもと話し合って、自由研究として恐竜について調べることにしました。
最初、張り切って沢山の図鑑を調べていたこどもなんですが、初っ端から壁に当たりました。
つまり、「何をして良いのか分からない」。
考えてみると、自由研究は、仕上げるまでの間に、「テーマの選定」「リサーチ」「結果の分析・整理」「レポートの作成」という各工程が必要です。
こどもを見ていると、そもそも「テーマの選定」からよく理解できない。漠然と「恐竜」といっても、何を調べたらいいのか分からない。闇雲に図鑑を読んでも、全く前に進まない。
結果、こどもの脳内には恐竜知識が大量に蓄積されてゆくんですが、ただただ、蓄積されるだけ。
こりゃ、親が介入せんと先に進みようがない。
自由研究は、なかなか高度な情報処理能力を必要とする作業ではないかと思います。
まず、テーマの選定。「恐竜」に興味があったとしても、恐竜の何を調べるのか決めないと前に進まない。「恐竜の生物学的分類」なのか、「恐竜の進化」なのか、はたまた「絶滅の謎」か。何をメインテーマに据え置くのかを決める必要があります。「テーマの選定」は簡単なようで案外難しいのです。
そして「リサーチ」部分は、テーマに沿った方法を選択する必要があります。「観察」なのか「実験」なのか、文献を調べるのか。観察ならば何を観察するのか、実験の方法はどうするか、どんな文献に当たれば良いか。
そして、リサーチ結果を分析、整理し、模造紙やレポート用紙上に表現しなければならない。言い換えると、インプットされた情報を適切に処理して、ひとつの成果物にアウトプットしなければならない。
自由研究をこなすには、これだけの処理が必要なわけです。
これらの一つ一つの過程を一からこどもに教えて、尻を叩いて完成させるのは本当に骨が折れた。こどももよく頑張ったけど、親も頑張ったと思う。
さて、自由研究を完成させるのに必要な工程をこなすスキル、「情報をインプットし、分析・整理し、アウトプットするスキル」と言い換えてもいいと思うんですが、これって実は、大人になってからものすごく必要となるスキルだと思うのです。
研究職やライターのように、書くことそのものをお仕事としている方はもちろんですが、ビジネスマンだって企画書や報告書、議事録を書くときに同じような作業をしているはず。仕事以外でも、何かを人に説明したり、誰かを説得したりするときに、無意識に同じような過程で情報処理をしてるんじゃないかと思います。
自由研究は、情報の処理能力を身につけさせる絶好の機会なんじゃないかと思うんですが、残念ながら、自由研究は、あまりにもこどもらの自由に任せ過ぎてて、今一つ、手法やテクニックを教えてないんじゃないかと思うんですね。(今の学校がそうでなかったらごめんなさい。)
というわけで、本日の結論としては、夏休みはもっと積極的にこどもたちに自由研究をさせよう、んでもって、学校は小学校高学年くらいになったら自由研究の手法をきちんと教えた方がいいんじゃないの、ということで。工作もそれはそれで良いんだけどね。