鼻猫亭

毎日のこととかぼんやり考えたことなど

ニンテンドー3DSに触りに行く話

 はなねこさんは暇だったので、先日、ニンテンドー3DSをさわりに幕張メッセまでやってきた。

 この3連休で幕張メッセに行けば、誰でもタダで3DSに触れるということである。なにしろタダである。しかも、何の資格も要らないらしい。赤い帽子を被った配管工の組織する何とか倶楽部とやらに入会している必要もない。これは行かざるを得まい。

 思えば、ニンテンドーDSには随分と世話になった。

 脳が鍛えられるらしいゲームでは、画面の向こうの大学教授に20歳の頭脳だと言われて悦に入っていた。

 緑色のとんがり帽子をかぶった男子がチャンバラするゲームでは、タッチペンに触れる楽しさを存分に教わった。

 かつてスーパーファミコンで熱中した国民的人気を誇る何やらファンタジーの4作目のリメイクでは、ラスボスがミジンコではなかったということに軽い衝撃を受けたものである。え、そこが顔だったの!?というのは十数年越しに受けた衝撃であった。

 同じく国民的人気を誇る何やらクエストの9作目では、「RPGにストーリーなんぞ要らぬ」ということを教えて貰った。 ちなみに、総プレイ時間300時間ははなねこさんがこれまでプレイしてきたいかなるRPGよりも長い。はっきりいって、半年の間何やらクエスト9しかゲームをせず、新たなゲームをまったく購入しなかったことで私がゲーム業界に与えた損失は計り知れない・・・こともない。

 さて、3DSは立体映像が売り物であるという。なにせ立体映像である。しかも裸眼で立体視できるという。

 はなねこさんは、正直のところ、立体映像には懐疑的であった。なにしろ幼少のころから立体映像には期待と失望を繰り返してきた世代である。

 赤と青のパラフィン紙を貼った眼鏡をかけて見る立体映像は、眼がチカチカして仕方なかった。

 ビックリマンシールのホログラムは立体に見えて心底驚いたが、銀色と虹色の画像はサイバーな感触を味わえるもののの、自然な色合いとは程遠いものであった。

 昨年は3D映画を2本見て、それぞれ飛び出す映像に驚嘆したが、眼鏡の上に眼鏡をかけるという自らの姿には失笑を禁じえなかったものである。

 そんなわけなので、裸眼で立体視できるということには非常に懐疑的であった。

 この現代はそこまで未来ではない。透明チューブの高速道路も存在しないし、その中を走る宙に浮く車も存在しない。誰も銀色の全身タイツを着用していない。

 しかし、3DSはいともやすやすとはなねこさんの懐疑心を打ち砕いてくれた。

 見えるのである。立体的に。赤と青のパラフィンなしで。眼鏡の上に眼鏡をかけずとも。恐るべきことに、来るべき未来はすぐそこに来ていたのだ。

 はなねこさんは軽く衝撃を受けて幕張メッセを後にした。

 出口の女性から、立派な紙袋に入ったパンフレットを貰ったようであったが、今一つ覚えていない。これは買わずはいられまい。3次元で表現される緑色の帽子をかぶったあいつをぐりぐり動かさずにはいられまい。

 しかし、はなねこさんが衝撃を受けるのは早かった。

 なにせ希望小売価格25,000円である。

 ・・・いや、昼食を50食我慢すれば、なんということもない。たかだか50食である。