鼻猫亭

毎日のこととかぼんやり考えたことなど

「リア充」について

 リア充というネットスラングを目にするようになったのは数年前だと記憶してますが、いまや色んなところで目にするようになりました。

 いまさらかもしれませんが、リア充とは、「リアルが充実しているひと」のことで、インターネットの世界と対比される現実の社会で、充実した人間関係を育んでいる層のことを指す単語だと理解しています。

 ―― もとい、いました。

 昨夜、電車で帰宅途中、高校生か大学生くらいの男女6〜7人のグループが乗ってきて、キャッキャウフフと騒ぎだしました。私はぼんやりと若いなー楽しそうだなーと思って見てたのですが、そのうちの一人が、満面の笑みで突然、「もう、リア充死ねよぅ!!」などと叫んだのです。それに呼応して、他の誰かも「あー!リア充になりてぇ!」と、これまた笑顔で呟く。女の子たちも、つられてくすくすと微笑みだす。

 いやいやいやいや、ちょっと待ってよ。君たち、今すっごい楽しそうじゃん!君たちリアルで充実してるよ、いまこの瞬間めっちゃ充実してるよ!!


 何となく感じていたのですが、リア充のもつニュアンスは、誕生以来、ちょっとづつ変わってきてるように思います。

 もともと、リア充という言葉は、2ちゃんねるに代表されるインターネット上のコミュニティに集う人たちが、現実の社会で楽しそうに過ごす人々を眺めて、妬みと、自虐的なジョークと、そして、刹那的に浮かれ遊ぶ人々を侮蔑する心情がない混じった複雑なニュアンスを込めて表現した言葉だったように思います。

 それが、いつの間にか、リア充とは、「恋愛関係を中心とする人間関係で成功しているひと」というニュアンスに変わってきたように思います。おそらくは、SNSの普及とともに誰しもがインターネット上のコミュニティに参加するようになり、「リアル」と「非リアル」の境界線が曖昧になってきたのが理由ではないかと考えています。

 そして、とうとう「リア充」とは「お付き合いしている異性がいるひと」、という意味になりつつあるのかも知れません。

 そこには、妬みも、自虐も、侮蔑のニュアンスもなく、単純に「彼氏/彼女がいる」のが「リア充」。わかれちゃったらそこで「非リア充」。すごくシンプル!

 リア充ってのもつまんねえ言葉になったもんです。

 リア充という言葉がこのまま死語になるのか、何となく便利な言葉として定着するのか知りませんが、リアルが充実した大学生たちを後に電車を降りた瞬間、私の中でリア充という言葉の賞味期限は切れました。